東前頭17枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜)の快進撃が、ついに止まった。大関豊昇龍に敗れ、新入幕の初日からの連勝は「11」から更新することはできなかった。

前日11日目に、大横綱大鵬が新入幕の1960年(昭35)初場所で記録した11連勝に並んだ。単独最長の12連勝とはならなかったが、11勝1敗は依然として単独トップで、110年ぶりの新入幕優勝の可能性は高いまま。達成すれば1914年(大3)5月場所を、所要11場所の史上最速で制した両国以来となる新入幕優勝を、所要9場所での史上最速更新で果たすという偉業に挑むことになる。

この日こそ敗れたが、伊勢ケ浜部屋の兄弟子にあたる翠富士、熱海富士がはね返された壁を突破しそうな勢いだ。翠富士は昨年春場所で初日から10連勝し、単独トップに立っていたが、終盤に5連敗した。熱海富士は11日目を終えて10勝1敗など快調に先頭を走り続け、千秋楽も単独トップで迎えながら逆転された。初体験の優勝争いで、知らず知らずのうちに重圧を感じ、普段通りの相撲を取ることができなくなっていた。

そんな優勝争いが佳境に入ってからの壁を、次々と越えてきた。9日目は初の三役戦で小結阿炎を破り、10日目は1差で追ってきていた大の里を破って引き離し、11日目は初の大関戦で琴ノ若を破った。1敗こそしたが、強さは本物。千秋楽を待たずに歴史的な優勝を飾る可能性は十分だ。

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